名古屋市昭和区鶴舞クリニックは内科、人間ドック、健康診断、睡眠時無呼吸症候群、生活習慣病の治療、特定健診を行っております。

医療法人社団三和会 鶴舞クリニック

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健診で異常を指摘されたら

健診で異常を指摘されたら
If an abnormality is pointed out at medical examination

  • 高血圧を指摘されたら
  • 心電図異常を指摘されたら
  • 便潜血陽性といわれたら
  • 血液検査の異常

高血圧を指摘されたら

高血圧を指摘されたら。

1血圧は通常、「120/80mmHg」のように表記され、「上が120、下が80」のように話されます。「上の血圧」は、心臓が一気に縮んで全身に血液を押し出す時の圧力で、収縮期血圧と呼ばれており、「下の血圧」は、心臓が血液を目一杯ためこんで広がった時の圧力で、拡張期血圧と呼ばれています。 上の血圧が140mmHg以上、又は下の血圧が90mmHg以上の場合に高血圧とされています。

2健診で高血圧が指摘された場合、以下の2通りが考えられます。

①自宅血圧は正常範囲の場合

健診などで、白衣を着ている人を見て緊張してしまうことが原因と考えられ、「白衣高血圧」と呼ばれています。
ご自宅での血圧が正常であれば、特に治療は不要です。

②自宅血圧も高い場合

自宅でも血圧が高めであり、特に安静にしていても上が150mmHg以上の場合は、内服薬による治療を検討する必要があります。食事、運動などで生活習慣を改善することも必要ですが、例えば運動をすると血圧は一時的にさらに上昇しますので、循環器内科医にご相談ください。

「自宅血圧の測定方法」

電子血圧計を使用します。電子血圧計は家電量販店等でご購入頂けます。
手首で測定するタイプよりも、腕で測定するタイプが望ましいでしょう。

  1. 起床後に測定します。起床後30分以内が望ましいです。
  2. 測定前にトイレに行きましょう。
  3. 数分安静にしたのち、測定しましょう。
  4. 食前・服薬前に測定しましょう。

心電図異常を指摘されたら

心電図異常を指摘されたら。

1心臓は多くの筋肉(心筋)で覆われています。
心筋は一定の順番で電気刺激による合図を受けて伸び縮みします。この電気刺激は、心臓の特定の部位から発生して心筋から心筋に伝わっていき、心臓全体の拍動(心拍・脈拍)になっていきます。これを検出して記録したのが心電図です。

2洞性不整脈・徐脈

①洞結節と心拍数

心臓には、拍動をうながす電気刺激が発生する特定の部位があり、これを洞結節(洞房結節)と呼んでいます。健常な人では洞結節からの電気刺激は一定の間隔で発生し、その頻度は心拍数に等しく、1分間に60~100回が正常とされています。様々な原因で心拍が不規則な状態を不整脈といいます。

②洞性不整脈

電気信号がきちんと出ていて、心拍数も正常ですが、脈拍が一定のリズムででていない状態です。若い人に多く、深く呼吸をするときに速くなったり遅くなったりするのが原因です。健常者にもみられる不整脈で精査、治療は不要です。

③洞性徐脈

洞結節から信号がちゃんと出ていて心電図波形は正常で、脈拍が60回/分未満の状態が同性徐脈です。
洞性徐脈の多くは、持久力を要する運動に親しんだ人の心電図に表れますが(スポーツ心臓)、それ以外の方でもみられます。
特に治療の必要はありませんが、めまい、ふらつき、立ちくらみ等の症状がある場合は心臓機能のチェックをお勧めします。

3期外収縮

①左胸に手をあてると、通常は規則的に拍動を感じますが、予想より早いタイミングで拍動がでる事があります。これが期外収縮で不整脈の一種です。

②期外収縮は、洞結節以外の部位から電気刺激が不規則に発生するのが原因で発生部位によって、上質性期外収縮・心室性期外収縮などに分けられます。多くは単発性で、次の脈から通常の心拍に戻ります。この場合は治療の必要はありません。敏感な方は「脈が不規則だ」「脈がとんだ」と感じる場合もありますが、全く自覚症状のない方も珍しくありません。

③まれに期外収縮が連続する場合があり、脈が速くなったり、動悸や息切れなどが発生します。ふらつき、意識消失といった症状につながる可能性がありますので、動悸などの異常を感じたら循環器内科医にご相談下さい。

便潜血陽性といわれたら

便潜血陽性といわれたら。

1採取した便の中に、血液が混じっていると便潜血陽性と判定されます。この場合、原因として、次の様な事が考えられます。

大腸に病変があって、便がこすれて血液が付着している(腫瘍、ポリープなど)
大腸の内壁が炎症を起こして出血している(腸炎、憩室炎など)
肛門付近の異常(痔核など)

2精密検査について

大腸の病変はいつも出血しているわけではないため、再検査では病変があっても陰性になってしまう場合があります。また、腹部CTなどの画像検査は腸の内側を精密に確認することは困難です。
従って便潜血陽性の場合に、病変を確実に見つけるためには、大腸内視鏡による精密検査が必要になります。
専門の医療機関で、早期に検査を受けて下さい。

血液検査の異常

①腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、がん細胞によって血液中の特定の物質(腫瘍マーカー)の濃度が上昇する性質を利用して行われる採血検査です。
がん細胞の種類によって色々な腫瘍マーカーがありますが、以下の様な問題点があります。
・早期のがんでは数値が上昇しないこともある
・がん細胞があっても腫瘍マーカーの数値が上がらないこと(偽陰性)や、がん細胞がなくても腫瘍マーカーの数値が上がってしまうことも(偽陽性)ある。

このため腫瘍マーカーから得られる結果については、他の画像検査などと合わせて総合的に判断する必要があります。

1PSA

前立腺がんの腫瘍マーカーで、正常範囲は4.00ng/ml以下です。
一時的な変動で4.00を超えることもありますが、他の腫瘍マーカー検査に比べて偽陰性や偽陽性の確率が低く、信頼性が高いので前立腺がん検診に採用されています。PSAの数値が正常域を超えたら、速やかに泌尿器科医に相談しましょう。

2CEA(がん胎児抗原)

CEAとは「がん胎児性抗原」の略称で、胎児の組織に存在する蛋白とよく似ていることからこの名称がついています。正常範囲は5.0ng/ml以下です。主に大腸がんや胃がんで高い数値を示すほか、膵臓がん・肝臓がん・肺がん(腺がん)などや、肝硬変・肝炎・胃潰瘍などの疾患、及び喫煙者の一部でも数値が上がることがわかっています。
このため、CEAが正常値を超えた場合には、他の腫瘍マーカー検査や、画像診断などで総合的に判断することが必要です。

3AFP

肝臓

消化器・肝臓系の腫瘍マーカーで正常範囲は10ng/ml以下です。AFPは元々胎児や妊婦の血液・羊水に存在するたんぱく質で、健常な成人の血中にはほとんど見られません。主に肝臓がんで高くなるほか、食道がん、胃がんなどでも高くなる事があります。また、慢性肝炎・肝硬変などでも上昇する傾向があります。
AFPは、妊娠後期の様な健康な状態でも上昇する場合もありますが、正常範囲を外れた場合は消化器内科医にご相談頂き、経過を観察するようにして下さい。

4CA19-9

膵臓

消化器系の腫瘍マーカーで正常範囲は37U/ml未満です。膵がん・胆管がん・胆嚢がんで80~90%、胃がん・大腸がんで30~50%の陽性率を示し、消化器系がんの腫瘍マーカーとして最も多く利用されています。がん以外でも、胆管炎・膵炎・肝炎・肝硬変などや、気管支拡張症や溶連菌感染症など消化器以外の疾患でも100U/mlを超える異常高値となる事があります。
一方で偽陽性も多く、若い女性では健康な状態でも正常値を超える事があります。
偽陽性が有るとはいえ、検出される疾病は重篤な状態に至るものが多いので、正常範囲を外れた場合は、早めに消化器内科医等の専門医にご相談下さい。

5シフラ・プロGRP

肺

肺がんの腫瘍マーカーです。肺がんはがん組織の特徴から、腺がん・扁平上皮がん・小細胞がん・大細胞がん等に分けられますが、シフラは扁平上皮がん、プロGRPは小細胞がんの腫瘍マーカーで、正常値はそれぞれ2ng/ml以下、46pg/ml未満です。シフラは間質性肺炎や結核などで、またプロGRPは腎不全がある方で正常値を超える事がありますが、どちらも特異性の高い腫瘍マーカーですので、これらの数値が上昇した場合は呼吸器内科医にご相談下さい。

②リウマチ因子(リウマトイド因子)

リウマチ因子は関節リウマチ患者で数値が上昇し、15U/ml以上が陽性とされます。
関節リウマチの患者の70~90%が陽性になるのですが、他の疾患(膠原病・肝硬変・肝炎・悪性腫瘍)でも陽性になる場合や健常者でも数%が陽性となるため、それだけでは関節リウマチと診断できません。
従ってこの検査だけに頼らず、関節症状や身体所見、他の血液検査などを加えて総合的に判断することが必要です。

③肝炎ウイルス(B型・C型)

肝炎ウイルスには様々な型がありますが、このうちB型およびC型肝炎ウイルスは血液などを介して感染して慢性的な肝炎を引き起こし、放置すると肝硬変から肝臓がんへと進んでいってしまいます。

日本でのB型・C型肝炎ウイルスの感染者は約210~280万人と推定されていますが、肝臓は非常に自覚症状に乏しい臓器のため、約3割の人は自分が感染している事に気づいていないと考えられています。 ですから、次の様な血液検査で異常が認められた場合は、自覚症状がなくても、速やかに治療を開始してください。

1HBs抗原検査

B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査です。
結果が陽性ならB型肝炎ウイルスに感染しています。すぐに消化器・肝臓専門医を受診しましょう。

2HBs抗体検査

この検査が陽性であれば、過去にB型肝炎ウイルス感染しその後治癒したことを示しています。またB型肝炎ウィルスのワクチンを接種した場合にも陽性となります。①のHBs抗原検査が陰性なら、特に治療の必要はありません。

3HCV抗体検査

C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査で、C型肝炎ウイルスに対する抗体を検出すると陽性になります。抗体の数値(抗体価)が高ければC型肝炎に感染している可能性が高くなります。専門医療機関を受診してさらに詳しく調べてもらいましょう。

④血中脂質

1LDL-コレステロール 基準値:60〜139mg/dl

LDL-コレステロールは肝臓で合成され動脈を通って全身に運ばれますが、血管の壁にくっつくと、血栓を作ったり、血管の細胞を傷つけたりして動脈硬化の原因になることから、悪玉コレステロールとよばれます。
LDL−コレステロール値が異常を示した場合は以下の原因が考えられます。一般内科・内分泌内科・循環器内科にご相談ください。

・基準値を超える場合:高脂肪食、甲状腺機能低下症・腎疾患(ネフローゼ症候群)・糖尿病・家族性高脂血症など

2HDL-コレステロール 基準値:40〜95mg/dl

HDL-コレステロールは動脈の壁にくっついたコレステロールをはがして肝臓に運ぶ作用があることから、善玉コレステロールとよばれます。HDL-コレステロールが少ないと、血管壁に残るコレステロールが増えて動脈硬化が促進されます。
HDL−コレステロール値が異常を示した場合は以下の原因が考えられます。一般内科・内分泌内科・循環器内科にご相談ください。

・基準値を下回る場合:肥満・喫煙習慣、糖尿病・腎不全・脳梗塞・虚血性心疾患・肝硬変・甲状腺異常、降圧剤・糖尿病薬・男性ホルモン・血液透析など

3中性脂肪(トリグリセリド・TG) 基準値:30〜149mg/dl

中性脂肪は体に必要なエネルギーを蓄えるなど大切な役割がありますが、多すぎると糖尿病などの生活習慣病の原因となります。
中性脂肪には、腸で吸収された食物由来の外因性TGと肝臓で精製されて再び血液中に分泌された内因性TGがあり、健診では内因性TGを測るために空腹下で採血を行います。
中性脂肪値が異常を示した場合は以下の原因が考えられます。一般内科・内分泌内科・循環器内科にご相談ください。

・基準値を超える場合:アルコール・糖分や脂肪のとり過ぎ、糖尿病・腎疾患 (ネフローゼ症候群)・貧血・骨髄腫・遺伝性疾患・先天性疾患など